第1章 ネットワークの全体像|1-1|コース全体 19回中1本目
ネットワークとは ― なぜ7つの層に分けるのか
「ネットワークとは」で検索した人向けの入門記事です。層に分けて考えると何が嬉しいのかを、暗記なしで理解できます。
ネットワークは、役割ごとに「層」に分けて考えます
ネットワークの仕組みは、1つの塊としてではなく役割ごとの層(レイヤー)に分けて考えます。 分けて考えると、通信が「つながらない」ときにどこが壊れているかを順番に絞り込めるようになります。
ネットワークとは何か
ネットワークとは、2台以上の機器をつないでデータをやりとりする仕組みのことです。 自宅のPCとスマホが同じWi-Fiでつながっている状態も、世界中のコンピュータが結ばれたインターネットも、 どちらも「機器同士がつながってデータをやりとりしている」という意味では同じネットワークです。
つながる範囲によって呼び方が変わります。LAN(Local Area Network)は自宅やオフィスなど建物内の狭い範囲のネットワーク、WAN(Wide Area Network)は複数のLAN同士を結ぶ広い範囲のネットワークです。インターネットは世界中のLANを結ぶ、最大のWANだといえます。
| 観点 | LAN | WAN |
|---|---|---|
| 範囲 | 建物内など狭い範囲 | 複数のLANを結ぶ広い範囲 |
| 管理者 | 自分や自社で管理することが多い | 通信事業者の設備を借りることが多い |
| 身近な例 | 自宅のWi-Fi、社内ネットワーク | インターネット |
なぜ、1つのプログラムで全部やらないのか
機器同士がデータをやりとりするには、やることが山ほどあります。電気信号やWi-Fiの電波をどう表すか。 同じ部屋の機器をどう見分けるか。地球の裏側の相手までどう道を選ぶか。届かなかったデータをどう送り直すか——。
これを1つのプログラムで全部やろうとすると、困ったことが起きます。 たとえば有線LANを無線(Wi-Fi)に変えただけなのに、電波の扱い方の知識がアプリの中にまで混ざっていると、アプリまで作り直しになってしまいます。配線を変える作業のはずが、関係ないはずのソフトの中身まで書き換える羽目になるのです。
層に分けて得られること、3つ
有線LANをWi-Fiに変えても、ブラウザやメールソフトを作り直す必要はありません。変わったのは一番下の層だけだからです。
「つながらない」ときに、どの層で止まっているかを順番に確認できます。次の節で実際の手順を見ます。
層の境目のルールさえ守れば、A社のルータとB社のスイッチとC社のPCが問題なく通信できます。
実際の切り分け例:「インターネットにつながらない」とき
層に分けて考える価値は、下から順に1つずつ疑えることにあります。 「Webページが開かない」というトラブルを例に、下から潰していく流れを見てみましょう。
- 1
ケーブル・電波を確認する
一番下の層の話です。LANケーブルが抜けていないか、Wi-Fiのアイコンに×が付いていないかを見ます。ここが繋がっていなければ、この先はすべて確認するだけ無駄です。
- 2
IPアドレスが振られているか確認する
IPアドレス(機器に割り振られる、宛先を示す番号)が正しく設定されているかを見ます。ケーブルは繋がっているのに番号が振られていない、という状態はここで見つかります。
- 3
名前解決ができているか確認する
一番上に近い層の話です。ブラウザに打つ「example.com」のような名前を、実際の宛先であるIPアドレスに変換する仕組み(DNS)が働いているかを見ます。
層の分け方には、名前がついたモデルが2つある
ここまでは「層に分けて考える」という発想だけを説明しましたが、実はこの分け方には世界共通の名前が付いています。 通信を7つの層に整理したOSI参照モデルと、実際にインターネットを動かしているTCP/IPモデル(層は4つ)です。
2つは対立するものではなく、同じ「層に分ける」考え方を、違う細かさで表しているだけです。 現場では、話をするときと実際に機器を設定するときで、この2つを使い分けています。
練習問題(全4問)
選んでから「採点する」を押すと、解説つきで答え合わせができます。
正解:層に分けると、下の層を交換しても上のプログラムを直さずに済み、障害の原因も層ごとに絞り込めるから
本文で説明した「交換できる」「切り分けられる」「分担できる」という3つのメリットが理由です。通信速度や消費電力とは関係ありません。
正解:LANは建物内など狭い範囲、WANはそれらを結ぶ広い範囲のネットワークを指す
LAN(Local Area Network)は建物内などの狭い範囲、WAN(Wide Area Network)は複数のLANを結ぶ広い範囲のネットワークです。有線か無線かは関係ありません。
正解:ケーブルや電波のような一番下の層から、IPアドレス、名前解決へと下から順に確認していく
層に分けて考える価値は、下から順に1つずつ確認できる点にあります。本文でも「ケーブル→IPアドレス→名前解決」の順で確認しました。
正解:OSI参照モデルとTCP/IPモデル
通信を7つの層に分けるOSI参照モデルと、実際にインターネットを動かしているTCP/IPモデル(4つの層)です。それぞれの中身は次回以降の記事で扱います。