ネットワークの教科書NETWORK

第1章 ネットワークの全体像1-1コース全体 19回中1本目

入門読了 約8分

ネットワークとは ― なぜ7つの層に分けるのか

「ネットワークとは」で検索した人向けの入門記事です。層に分けて考えると何が嬉しいのかを、暗記なしで理解できます。

結論

ネットワークは、役割ごとに「層」に分けて考えます

ネットワークの仕組みは、1つの塊としてではなく役割ごとの層(レイヤー)に分けて考えます。 分けて考えると、通信が「つながらない」ときにどこが壊れているかを順番に絞り込めるようになります。

この記事のゴール:層の名前を7つ覚えることではありません。「分けると切り分けができる」という考え方だけを持ち帰ってください。 層の名前と中身は次回1-2 OSI参照モデル ― 7階層それぞれの役割で扱います。
前提

ネットワークとは何か

ネットワークとは、2台以上の機器をつないでデータをやりとりする仕組みのことです。 自宅のPCとスマホが同じWi-Fiでつながっている状態も、世界中のコンピュータが結ばれたインターネットも、 どちらも「機器同士がつながってデータをやりとりしている」という意味では同じネットワークです。

つながる範囲によって呼び方が変わります。LAN(Local Area Network)は自宅やオフィスなど建物内の狭い範囲のネットワーク、WAN(Wide Area Network)は複数のLAN同士を結ぶ広い範囲のネットワークです。インターネットは世界中のLANを結ぶ、最大のWANだといえます。

観点LANWAN
範囲建物内など狭い範囲複数のLANを結ぶ広い範囲
管理者自分や自社で管理することが多い通信事業者の設備を借りることが多い
身近な例自宅のWi-Fi、社内ネットワークインターネット
理由

なぜ、1つのプログラムで全部やらないのか

機器同士がデータをやりとりするには、やることが山ほどあります。電気信号やWi-Fiの電波をどう表すか。 同じ部屋の機器をどう見分けるか。地球の裏側の相手までどう道を選ぶか。届かなかったデータをどう送り直すか——。

これを1つのプログラムで全部やろうとすると、困ったことが起きます。 たとえば有線LANを無線(Wi-Fi)に変えただけなのに、電波の扱い方の知識がアプリの中にまで混ざっていると、アプリまで作り直しになってしまいます。配線を変える作業のはずが、関係ないはずのソフトの中身まで書き換える羽目になるのです。

例えるなら、手紙と郵便です。手紙の中身を考える人と、封筒に宛名を書く人と、トラックで運ぶ人は別々でよいはずです。 トラックが電車に変わっても、手紙の書き方までは変える必要がありません。 そこでネットワークも、下の層は上の層に中身を見せず、決められた形でだけ受け渡すように役割を分けました。 これが「層に分ける」という考え方です。
効果

層に分けて得られること、3つ

交換できる下の層を入れ替えても、上は無傷

有線LANをWi-Fiに変えても、ブラウザやメールソフトを作り直す必要はありません。変わったのは一番下の層だけだからです。

切り分けられる障害を層ごとに追える

「つながらない」ときに、どの層で止まっているかを順番に確認できます。次の節で実際の手順を見ます。

分担できる機器やメーカーを混ぜられる

層の境目のルールさえ守れば、A社のルータとB社のスイッチとC社のPCが問題なく通信できます。

実践

実際の切り分け例:「インターネットにつながらない」とき

層に分けて考える価値は、下から順に1つずつ疑えることにあります。 「Webページが開かない」というトラブルを例に、下から潰していく流れを見てみましょう。

  1. 1

    ケーブル・電波を確認する

    一番下の層の話です。LANケーブルが抜けていないか、Wi-Fiのアイコンに×が付いていないかを見ます。ここが繋がっていなければ、この先はすべて確認するだけ無駄です。

  2. 2

    IPアドレスが振られているか確認する

    IPアドレス(機器に割り振られる、宛先を示す番号)が正しく設定されているかを見ます。ケーブルは繋がっているのに番号が振られていない、という状態はここで見つかります。

  3. 3

    名前解決ができているか確認する

    一番上に近い層の話です。ブラウザに打つ「example.com」のような名前を、実際の宛先であるIPアドレスに変換する仕組み(DNS)が働いているかを見ます。

もし層が分かれていなかったら:「つながらない」原因を、ケーブルからアプリの中身まで一度に疑うことになります。 層に分けて考えているからこそ、下から順に対象を絞り込み、無駄な確認を省けます。
予告

層の分け方には、名前がついたモデルが2つある

ここまでは「層に分けて考える」という発想だけを説明しましたが、実はこの分け方には世界共通の名前が付いています。 通信を7つの層に整理したOSI参照モデルと、実際にインターネットを動かしているTCP/IPモデル(層は4つ)です。

2つは対立するものではなく、同じ「層に分ける」考え方を、違う細かさで表しているだけです。 現場では、話をするときと実際に機器を設定するときで、この2つを使い分けています。

今回はここまで:7つの層それぞれが何をする層かは、次回1-2 OSI参照モデル ― 7階層それぞれの役割でひとつずつ確認します。 「なぜ分けるか」が腑に落ちていれば、次回の暗記はぐっと楽になります。
練習

練習問題(全4問)

選んでから「採点する」を押すと、解説つきで答え合わせができます。

Q1なぜネットワークは役割ごとに「層」に分けて考えるのか。最も適切な理由は?
Q2LANとWANの違いとして正しいものは?
Q3「インターネットにつながらない」ときの切り分けの進め方として、本文の考え方に合うのはどれ?
Q4ネットワークの層の分け方には、世界共通の名前がついた「モデル」が2つある。それは何と何か?
次の回

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