ネットワークの教科書NETWORK

第1章 ネットワークの全体像1-2コース全体 19回中2本目

入門読了 約10分

OSI参照モデル ― 7階層それぞれの役割

OSI参照モデルの7階層が、それぞれ何をしているのかを1層ずつ確認する記事です。TCP/IPモデルとの対応は扱いません(それは次の回です)。

結論

7階層は「下ほど物理に近く、上ほど人に近い」順に並んでいます

OSI参照モデルは、通信を7つの役割に分けて積み上げたものです。並び方には意味があります。下の層(第1層)ほど電気信号やケーブルといった「モノ」に近く、上の層(第7層)ほど人が読める文章や画面に近づきます。各層は自分のすぐ上下の層とだけやりとりし、自分の役割だけに集中します。

この記事で扱うこと:7階層それぞれが「何をする層か」「宛先は何か」「代表的なプロトコルは何か」を1層ずつ確認します。 OSI参照モデルとTCP/IPモデルの対応関係は扱いません。そちらは次の回1-3 OSI参照モデルとTCP/IPモデルの違い・対応関係で扱います。
確認

押せる7階層

各層のボタンを押すと、その層の役割・PDU(データの呼び名)・宛先・関連する用語が下に表示されます。 まずは知っている言葉(HTTPやWi-Fiなど)を含む層から押してみてください。

LAYER 7 / APPLICATION
アプリケーション層

人やアプリが直接使うサービスそのものを提供する層。

Webの閲覧、メールの送受信、ファイル転送、名前解決など、目的ごとのプロトコルが並びます。ブラウザやメールソフトそのものではなく、それらが話す言葉の決まりがこの層です。

PDU
メッセージ
宛先
URL / ドメイン名
HTTPHTTPSDNSSMTPIMAPSSHDHCP
身近な例:ブラウザに表示される 404 Not Found は、HTTPというL7プロトコルの返事です。
解説

層ごとの役割(第1層〜第7層)

表を上から下(第1層 → 第7層)へ読むと、物理的な信号が少しずつ「意味のあるデータ」に組み立てられていく流れが見えます。

役割宛先代表的な規格・プロトコル
第1層
物理層
0と1を、電気・光・電波といった物理的な信号に変えて送り出すなしLANケーブルの規格、光ファイバ、Wi-Fiの電波、RJ-45コネクタ
第2層
データリンク層
直接つながっている機器同士で、誤りなくデータを渡すMACアドレスEthernet, Wi-Fi (802.11), ARP
第3層
ネットワーク層
ネットワークをまたいで、最終的な宛先までの道を選ぶIPアドレスIP, ICMP
第4層
トランスポート層
アプリ同士の通信を成立させ、必要なら確実性を担保するポート番号TCP, UDP
第5層
セッション層
通信の開始から終了までの、ひと続きのやりとりを管理するセッションIDなどRPC, NetBIOS
第6層
プレゼンテーション層
データの表現形式をそろえ、送り手と受け手が同じ意味に解釈できるようにするなしUTF-8, JPEG, TLS(暗号化)
第7層
アプリケーション層
人やアプリが直接使うサービスそのものを提供するURL / ドメイン名HTTP, DNS, SMTP

第1層には「宛先」という考え方がない

物理層が扱うのは意味のないビットの列(電気信号や光の点滅)そのものです。 「どこ宛か」を指定するという考え方自体が、まだ存在しません。宛先という概念は、次の第2層(MACアドレス)から登場します。

トランスポート層は、確実性を「選べる」層

第4層には性格の異なる2つの代表プロトコルがあります。TCPは3ウェイハンドシェイクで接続を確立し、 再送や順序の整理まで行う代わりに、その分だけ手間(オーバーヘッド)が増えます。UDPはそれらを省略し、速さと軽さを優先します。 どちらを使うかはアプリ側が選びます。

セッション層・プレゼンテーション層は独立して意識されにくい

第5層(セッション層)と第6層(プレゼンテーション層)は、実際に広く使われているTCP/IPモデルでは アプリケーション層の中に吸収されており、独立した層としては意識されにくいところです。詳しくは次の回1-3 OSI参照モデルとTCP/IPモデルの違い・対応関係で扱います。

用語

PDU(各層でのデータの呼び名)

同じひとかたまりのデータでも、どの層を通っているかによって呼び方が変わります。 この呼び名をPDU(Protocol Data Unit)と呼びます。

各層でのデータの呼び名(PDU)
第1層 物理層ビット
第2層 データリンク層フレーム
第3層 ネットワーク層パケット
第4層 トランスポート層セグメント(UDPはデータグラム)
第5層 セッション層データ
第6層 プレゼンテーション層データ
第7層 アプリケーション層メッセージ
呼び名が意識されるのは、主に第1層〜第4層までです。第5層〜第7層はまとめて「データ」と呼びます。 そのうちアプリケーション層のデータは、特に「メッセージ」と呼びます。
覚え方

OSI7階層の語呂合わせ

7階層を上(第7層)から下(第1層)へ暗記するための語呂合わせがあります。 公式な由来があるものではありませんが、順番を覚える助けになります。

名前語呂
第7層アプリケーション層
第6層プレゼンテーション層
第5層セッション層
第4層トランスポート層
第3層ネットワーク層
第2層データリンク層
第1層物理層
頭文字をつなげると:アプセトネデブ」。1つの層に1文字が対応します。 「プ(プレゼンテーション)」を忘れて「アプ」のように2文字ずつ読んでしまうと、 プレゼンテーション層がまるごと抜け落ちるので注意してください。
練習

練習問題(全5問)

選んでから「採点する」を押すと、解説つきで答え合わせができます。

Q1直接つながっている機器同士で、MACアドレスを使ってフレームをやり取りするのは第何層か?
Q2ネットワーク層のPDU(データの呼び名)として正しいものは?
Q3ポート番号を使って「どのアプリ宛か」を区別し、必要なら確実性まで担保するのは第何層の役割か?
Q4OSI7階層の語呂合わせ「アプセトネデブ」で、プレゼンテーション層に対応する文字はどれか?
Q5第1層(物理層)の説明として正しいものはどれか?
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